防衛銘柄の見通し|9兆円予算時代に伸びる会社と分野

2026年5月11日月曜日

市況 日本株 防衛銘柄

防衛銘柄の見通し|9兆円予算時代に伸びる会社と分野

防衛関連株は、ニュースで一気に買われる場面が多いテーマです。ただ、本当に大事なのは「予算が増えたか」だけではなく、その予算がどの分野に流れ、どの会社の受注・売上・利益に変わっていくかです。
いまの流れを見ると、中心になるのはミサイル、無人機、レーダー・電子戦、宇宙・サイバー、整備・補給。このあたりを押さえると、防衛銘柄の見通しがかなり見えやすくなります。

この記事は2026年5月時点の公開情報をもとにまとめています。株価レンジは将来の値動きを保証するものではなく、業績・受注・テーマ性を見たうえでの目安です。

1. 日本の防衛予算は、はっきり増加局面に入っている

日本の防衛予算は、2023年度から2027年度までの5年間で約43兆円を確保する方針です。単年度の話ではなく、複数年で装備品・弾薬・整備・施設・人員にお金を投じていく流れになっています。 出所

2022年度
5.40兆円
2023年度
6.82兆円
2024年度
7.95兆円
2025年度
8.70兆円
2026年度
9.04兆円
年度 防衛関係費の目安 ポイント
2022年度 5兆4,005億円 まだ従来の延長線上。ここから大きく流れが変わる。出所
2023年度 6兆8,219億円 防衛力整備計画の初年度。契約ベースでも大きく増加。出所
2024年度 7兆9,496億円 弾薬・整備・スタンドオフ能力などへの配分が拡大。出所
2025年度 8兆7,005億円 8兆円台後半へ。装備品の取得・研究開発がさらに進む。出所
2026年度 9兆353億円 初の9兆円台。長射程ミサイル、無人機、人材・施設強化が目立つ。出所

ここで投資家が見たいのは、予算の増加がすぐ利益に出るかどうかではありません。防衛装備は、まず契約が入り、そこから数年かけて売上・利益に変わっていきます。つまり、防衛株は受注残が増え、その後に業績へ反映される時間差のテーマとして見るのが自然です。

2. これから伸びやすい分野

本命

スタンド・オフミサイル

相手の射程外から反撃・抑止するための長射程ミサイル分野です。12式地対艦誘導弾の能力向上型、極超音速誘導弾などが注目されています。2026年度予算でも大きな柱になっています。 出所

関連:三菱重工、IHI、三菱電機、NEC

成長テーマ

無人機・ドローン・無人艇

偵察、監視、攻撃、補給、海中探知まで、無人アセットの活用は一段と広がりそうです。南西諸島防衛や沿岸防衛では、ドローン・無人水上艇・無人潜水機を組み合わせる構想も出ています。 出所

関連:ACSL、東京計器、川崎重工、三菱重工、NEC

じわり強い

レーダー・防空・電子戦

ミサイルを撃つだけでなく、探知し、識別し、迎撃する力が重要になります。レーダー、電子戦、通信妨害対策、統合防空ミサイル防衛は、地味ですが予算が続きやすい分野です。 出所

関連:三菱電機、NEC、東京計器、三菱重工

中長期

宇宙・サイバー・指揮統制

衛星、通信、サイバー防衛、指揮統制システムは、現代の防衛で欠かせないインフラです。防衛省も「領域横断作戦」や「指揮統制・情報関連」を重点分野に置いています。 出所

関連:NEC、三菱電機、IHI、三菱重工

個人的にいちばん見ておきたいのは、「無人化」と「ミサイル防衛・電子戦」です。理由はシンプルで、これらは一度きりの大型装備ではなく、機体・センサー・通信・ソフト・整備・更新がセットで続きやすいからです。

3. 主力銘柄の見方

銘柄 防衛関連の取り組み 直近の数字 12カ月の目安レンジ 見方
三菱重工
7011
ミサイル、艦艇、潜水艦、防衛航空機、宇宙まで幅広い。12式地対艦誘導弾能力向上型など、国産スタンド・オフ能力の中心企業。 出所 3Q売上 +9.2%
事業利益 +25.5%
通期事業利益見通し 4,100億円 IR
5,200〜5,800円 防衛・宇宙の受注残と市場評価を加味 防衛大型株の本命候補。すでに人気化しているため、急騰を追うより、決算後や地合い悪化時の押し目を丁寧に見たい。
川崎重工
7012
P-1哨戒機、C-2輸送機、潜水艦、航空機部品、ヘリ関連など。航空・海上防衛に強み。 航空 潜水艦 3Q売上 +10.9%
事業利益 +4.3%
四半期利益 +51.6% IR
3,400〜3,900円 防衛・航空・水素関連の評価を加味 三菱重工に次ぐ大型防衛候補。防衛だけでなく、二輪・水素・航空などの影響も受けるので、事業全体の利益率も見たい。
IHI
7013
防衛省向け航空エンジン、戦闘機エンジン、宇宙・ロケット関連。日本のジェットエンジン生産で高い存在感。 出所 通期売上 +1.0%
営業利益 +15.3%
最終利益 +42.8% IR
3,600〜4,200円 航空エンジン回復と防衛・宇宙を加味 エンジン整備のストック性が魅力。民間航空の回復と防衛・宇宙が重なるため、テーマ性だけでなく業績面でも見やすい。
三菱電機
6503
レーダー、電子戦、衛星、防衛システム。防衛・宇宙分野を成長領域として強化している。 出所 通期売上 5兆8,947億円
純利益 +25.8% IR
5,800〜6,700円 防衛単独ではなく総合電機として評価 電子戦・レーダー・宇宙で強い。ただし防衛純度は三菱重工ほど高くないため、工場自動化や電力機器など全社業績もセットで見る。
NEC
6701
航空・宇宙・防衛向けのシステム、ソフトウェア、指揮統制、サイバー領域。防衛のデジタル化で存在感が出やすい。 出所 通期売上 +4.7%
営業利益 +40.3%
最終利益 +54.3% 出所
4,800〜6,100円 ITサービス高収益化と防衛DXを加味 防衛そのものに加えて、サイバー・通信・AI活用の流れに乗りやすい。大型株としては比較的バランスがいい。
東京計器
7721
レーダー警戒装置、慣性航法装置、艦艇向け機器など。防衛電子機器のテーマ性が強い中小型株。 出所 3Q売上 +16.1%
営業利益 +93.4% 出所
8,000〜9,500円 受注・決算で上下しやすいテーマ枠 防衛テーマの反応は強いが、値動きも大きい。短期資金が入りやすいので、買い増しよりも利確ラインを先に決めておきたい。
ACSL
6232
国産ドローンの代表格。防衛省向け案件の受注報道もあり、無人化テーマでは注目度が高い。 出所 売上成長見通しは大きい一方、営業赤字が続く見込み 出所 高リスク枠 株価レンジより受注と黒字化時期を重視 ドローン本命候補のひとつ。ただ、現時点では業績よりテーマで動きやすい。長期保有よりも、受注の積み上げを確認しながら見たい。

4. 注目分野の優先順位

順位 分野 伸びる理由 見たい銘柄
1 無人機・ドローン・無人艇 人員不足、離島防衛、偵察・監視需要の増加。数をそろえる必要があり、更新需要も出やすい。 ACSL、東京計器、川崎重工、NEC
2 スタンド・オフミサイル 防衛予算の中でも金額が大きく、国産化・量産の流れが続きやすい。 三菱重工、IHI、三菱電機
3 防空・レーダー・電子戦 ミサイル防衛、ドローン対策、電子妨害への対応で必要性が増している。 三菱電機、NEC、東京計器、三菱重工
4 宇宙・サイバー・指揮統制 衛星、通信、AI、サイバー防衛は今後の防衛システムの土台になる。 NEC、三菱電機、IHI、三菱重工
5 整備・補給・弾薬・施設強靭化 派手さはないが、予算が継続しやすい。装備を持つだけでなく、使い続ける力が重視されている。 三菱重工、川崎重工、IHI

5. 投資目線でのまとめ

防衛銘柄を中期で見るなら、まず軸にしたいのは 三菱重工 川崎重工 IHI の大型3社です。防衛予算の増加が、受注残から売上・利益に変わる流れをいちばん素直に取り込みやすいからです。

電子戦、レーダー、宇宙、サイバーまで広げるなら、 三菱電機 NEC も外せません。こちらは防衛だけでなく、社会インフラやITサービスの成長も重なるので、値動きはやや落ち着きやすい印象です。

一方で、短期的な値幅を狙うなら 東京計器 ACSL のようなテーマ性の強い銘柄も候補になります。ただし、この枠はニュースや受注で大きく動きやすく、決算で失望されると下げも速いです。買う前に、利確ラインと損切りラインは決めておきたいところです。

いちばん避けたいのは、「防衛」という言葉だけで全部を同じように買うこと。今後は、国産ミサイル、無人アセット、電子戦、宇宙・サイバー、整備需要にどれだけ深く関わっているかで、銘柄ごとの差が出てくると思います。

6. 注意しておきたいリスク

リスク 見ておきたい点
株価の先回り 防衛株は人気化しやすく、好材料が出る前から買われることがあります。決算で材料出尽くしになる場面には注意。
利益率のズレ 受注が増えても、原材料費・人件費・開発費が重いと利益が伸びにくいことがあります。
契約・納期の遅れ 防衛装備は大型案件が多く、契約時期や納入時期のズレで業績の見え方が変わります。
小型株の急落 ドローンや防衛電子機器の中小型株は、テーマ資金が抜けると下落も速いです。業績の裏付けを必ず確認したいです。

株価レンジは、記事作成時点の公開情報、決算進捗、テーマ性、報道・市場評価をもとにした目安です。投資判断は、最新の決算資料、受注状況、株価水準、リスク許容度を確認したうえで行ってください。

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